戸建てもアパートも、それぞれ長所(メリット)・短所(デメリット)がありますが、それぞれを比較した際のメリットを列挙して、「どちらの投資が優れているか」を徹底的に比べてみたいと思います。
当然、その人の属性や投資のスタンス(どこまでリスクを取ってどこまで規模拡大を目指すのかなど)によって一概には言えませんが、2021年現在の市況も踏まえて、改めて整理をして考えてみたいと思います。
首都圏郊外の路線価5~10万円程度の立地に、築25~40年前後の築古物件を購入する場合を想定しております。
*アパートのメリットは戸建てのデメリットでもあり、戸建てのメリットはアパートのデメリットでもあります。
<アパートのメリット>
・一度の契約・決済の手間で、大きな収入が得られる(効率的である)
・長期の融資を引きやすく、キャッシュフローが大きくなる。(そのキャッシュフローを再投資することによる複利効果大)
・戸数が多いことから、空室リスクを分散することが出来る。
・屋根・外壁工事の際は、戸当たりの負担金額が割安になる。
・市況による価格(相場)のボラティリティが大きいことから、価格低迷期に安く購入することが出来れば、大きなキャピタルゲインが狙える。
<戸建てのメリット>
・賃貸需要が強く、供給が少ないことから客付けしやすい。(ADやフリーレントは低めである)
・多少、立地がイマイチでも賃貸ニーズはある。(1戸のみであることから、1世帯のみに物件を気にいってもらえれば「満室」にすることが出来る)
・入居期間は長くなりやすい。
・共用部分が無く、定期清掃や草刈り、電気代などの負担が無い。
・騒音など、入居者からの近隣クレームは起こりにくい。
・ペット可にしやすい。(ペットを飼っていない他の入居者に気を使う必要がない)
・同じ土地・建物面積であれば、割安に買える可能性が高い(積算が出やすい)
・元々、「分譲」された物件なので、建物の造りが比較的しっかりしている。(極端にチープではない)
・投資家ではなく、実需層へも売却が可能。また入居者へそのまま実需として売却するという選択肢も存在する。
・隣地が本物件を購入することで土地の価値があがるようなら、隣地へ売却交渉することもしやすい、また隣地を購入することで土地の価値を上げやすい(隣地を購入する展開はアパートでもありえるが、隣地へ売却交渉することはあまりない)
・価格が安いため売却しやすい(流動性が高い)
・金融機関の融資スタンスによって、価格が下落したり流動性が下がったりすることはあまり無い。(市況に左右されにくい)
・解体して土地として売却する際に、立ち退き費用が掛からない(退去まで家賃をもらい、退去時に解体でOK)
・公庫で低利1%台、且つ無担保で融資を引いて購入しやすい価格帯である。(買値にもよるが利回りが高くなりやすいため、調達金利を差し引いたイールドギャップも高めである)
・物件の売主が投資家ではないケースが圧倒的に多く、指値により相場より安く買えるケースが多い。
・物件で災害・事故・自殺等があっても影響が限定的である。(リスク分散が出来る)
・空き家を再生して賃貸物件をして甦らせれば、社会貢献にもつながり、近所の方に喜ばれる。(かも)
ここ10年くらいは、特にアパートは価格相場が上昇したため、アパートを購入&売却して数千万儲かったといった武勇伝は多く、「一攫千金を狙うには戸建てではなくアパートしかない!」と思われがちですが、規模拡大と長期融資の引きやすさを重視しなければ圧倒的に戸建てに軍配が上がると思います。
戸建ての方が「収益絶対額」は低くても、屋根・外壁に多額の費用が発生しない限り「収益性」は高くなりやすいです。
結局のところ、アパートで大きく儲けた人の大半はキャピタルゲインであり、数年程度運用してキャッシュフローを得ていても、買値を下回る価格でしか売れなかったら大して儲かりません。(赤字も十分あり得ます)
いよいよ戸建ての価格も上昇してきましたので、「所有している戸建て20戸を10年保有後、全て買値より高く売却して、トータルで1億以上儲かった!」という景気の良い話も聞こえてくる時期に差し掛かったかもしれません。
ここ1年で「FIRE(Financial Independence, Retire Early)」することを推奨する書籍が増え、不動産投資に限らず株式投資や節約で1億円前後の資産を築き、早期リタイアを目指すサラリーマンが増えているようです。
私もそうですが(笑)
直近は、不動産も株も「資産バブル」であり、「このままいけば、あと〇年で余裕で億り人になってFIRE出来るかも!?」と考えているサラリーマンは多いと思いますが、価格高騰期に「不動産一本足打法」で投資を進めるのはリスクが高いので、「負けない不動産投資」を心掛け、時間を掛けて少しづつ純資産を拡大させていきたいと思います。