ロシアとウクライナの戦争が長引き、コロナによる金融緩和・資源価格高騰なども重なり、ますますインフレが加速しそうです。
アメリカと違って日本は「所得が増えない→家賃も上げられない」という図式であるにも関わらず、ガソリン代・電気やガス代・食料品価格は明らかに上昇してきており、中所得層の一般市民の生活は徐々に圧迫されることは不可避だと思います。
現在は、コロナ禍において消費されなかったお金と株高により懐に余裕がある人も多いと思いますが、コロナが収束し各種手当も無くなり返済も始まり、消費活動が再開され、さらに株価も下がる展開となれば、強烈な「不況」が訪れても不思議ではありません。
当然、家賃の節約志向が高まり、
・より家賃が安い郊外へ引っ越しする
・家賃の引下げ交渉が始まる(早速私も直面しました・・・)
・低金利は継続しているため、安価な中古戸建・中古マンションを思い切って購入する
といった環境の変化に対する何かしらのアクションを起こす人が増えてくると思います。
現時点では、「新築中古・マンション戸建て」全ての販売が好調のようですが、2007年~2008年頃も不動産価格が上がり過ぎて消費者の買い控えが始まり、新築の値引き合戦が始まり、中古の成約価格も下落し、最終的にリーマンショックがトドメを刺して不動産市場が大暴落しました。
その時と違うのは「円安」(輸入木材や石油製品が為替の関係で高い)であること、既に限界まで金利は安くなっている(=更なる利下げが期待出来ない)ことです。
逆に、「金融ショック」による貸し渋り・貸し剥がしが無い分、住宅ローンは組みやすいのではないかと思います。(リーマンショック直後の住宅ローン審査がどうだったか分かりませんが、リストラや残業代のカット等により延滞は膨らんだことは間違いありません)
そうなるとインフレにより生活が厳しくなっている中所得者層の一番の(?)選択肢は、安い中古住宅を購入し、今迄払っていた家賃よりも安いローン返済を実現することで、可処分所得を確保することです。
仮に7万円の家賃を支払いしていた世帯年収400万前後の家庭が、築40年前後のリフォーム済み中古戸建を購入すると、
・価格1500万円
・金利1%
・支払期間35年
で、月々42,000円の返済となります。(実際は、固定資産税や修繕コストなど、賃貸には無かったコストが発生します)
実際に、中古住宅の買取再販業者の業績は好調のようです。
カチタス
イーグランド
私のような戸建て投資家が、空き家(リフォーム前)の状態で指値を入れて400万前後で購入している中古戸建が、内外装を全面リフォームして1500万円前後で販売されております。
当然、敷地面積や建物が異常に狭かったり、駐車場が無かったり、接道が極めて悪いような、見た目がイマイチな物件は無く、新築であれば2000~2500万円程度の「実需受け」しそうな物件が1500万円で売られている印象です。
よく「戸建ては実需向けにも売却出来る」と言われますが、いかにも収益物件向けのクセの強い戸建ては、売れても今の入居者か、住宅ローンが組めない特定の層が現金で購入する位だと思います。
500万円の戸建てを、住宅ローンを使って1%・35年で購入すると月々14,000円ですから、住宅ローンが組めれば最低でも1,000万円以上の、もうちょっと「マシな」物件を購入すると思います(笑)
よって、
コストプッシュ型インフレ等で景気が悪化
中所得者向けの新築物件の売れ行きは悪化&収益物件の価格も低下
ただし安価な中古戸建てにはむしろ追い風
実需向けにも売れそうな戸建てを購入しておけば安心
と結論付けました。
不動産市況が今のまま、実需向け・投資向けともに堅調なままであれば問題ありませんが、色々なことを想定しておくべきですし、いずれにしても建築コストが今後も上昇するようなら戸建て・マンションを問わず、既存の住宅の価値は見直されると思います。