ベーシックインカムの導入に向けて、今後本格的な検討が始まりそうな気配があります。
ベーシックインカムとは、国民の最低限度の生活を保障するため、国民一人一人に毎月現金を支給するというもので、先日竹中平蔵さんが、一律7万円を支給する代わりに年金や生活保護制度を廃止し、最低賃金制度も撤廃することにより、企業は人件費を削減させたり雇用を流動化させることが出来るようになると主張されたようです。
また、一定以上の所得がある人には支給しないという案のようです。
一律7万円であれは、地方在住の元気な若者であればそれだけで何とか暮らしていけますが、首都圏在住(=家賃や生活維持コストが高い)の人や、持病を抱えており一定の病院代が必要な人であれば、生活を維持していくことは出来ませんので、一律7万円に加えて、特殊事情を抱えている人にはプラスアルファの金額を支給するのが現実的な案なのかもしれません。
何故こういった制度が検討されているのかというと、一番はAIやテクノロジーの進歩が人々から仕事を奪い、仕事が無い人が世の中に溢れかえってしまうことが想定されるからだと思います。
AIやロボットが1分で出来る仕事を人間がやると1時間かかるというのであれば、そのようになるのは当然です。
数年後、世の中がそうなっていると仮定して、不動産投資にはどのような影響(変化)が起こるのかを考えてみました。
・生活コストの高い都心部から、郊外や地方へ転居する人の割合が増加。(仕事を失って生活を維持出来なくなる)
・クルマを維持する余裕が無くなるため、地方でも商業施設や病院が徒歩圏にある立地が好まれる。
・激安アパートへの入居希望者が殺到。
・カネを使わずに時間をつぶせるネットやゲームがより盛んになるため、Wifi導入は必要不可欠に。
・家にいる時間が増えるため、騒音・日当たり等に難がある物件は好まれなくなる。
・生活コストを抑えるために、共同生活(シェアハウスなど)が増加する、実家に帰る人が増加する。
・生活コストが圧倒的に安い、東南アジアなどへの移住が増加する。(カネの支給は打ち切られそうですが・・)
こんな感じでしょうか。
職が無い単身者であれば、アパート代(3万円くらい)を支払ったら、光熱費とスマホ代、食費で丁度なくなってしまうレベルですので、パチンコで負けたら即死です(笑)
一番高いのは住居費なので、16㎡程度のアパートに外国人労働者のように複数人で住むようなケースは増えると思われ、狭小アパートのオーナーにとってはプラスになりそうです。
生活保護の最低家賃以下の物件でも、今後は少しでも安い物件を求めて入居が殺到するかもしれません。
それではベーシックインカムが導入されると「築古・ボロ戸建て」はどうなるのでしょうか?
私は、かなりの追い風になると思います。
戸建は基本的にファミリー向けですので、夫婦2人で月14万、プラス子供や老親がいれば21万円や28万円の世帯収入になり、家賃6万円程度の戸建であれば、金銭的にも多少余裕がある状態で快適に暮らせます(笑)
いくら月7万円程度、何もしなくてももらえるといっても、月15万円程度でも稼げる人にまで支給してしまうと政府の財源は尽きてしまうと思いますので、それなりに厳しい所得制限は設けられそうです。
とはいえ働き口は圧倒的に少なくなりますので、感覚的には今の職を失ってしまう層は最終的には2,3割程度はいそうで、再就職を諦めてベーシックインカムの収入のみで生活していかざるを得ない人は確実に増加すると思います。
そのように仮定すると、月50万円前後稼げる人が減少し、月7万円~20万円程度の収入で生活していく人が人口のボリュームゾーンとなってきそうですので、そのゾーンに向けた良質な?ボロ戸建てを市場に提供し続けたいと思います。