今の時期、本当に規模拡大すべきか? 法人化は必要か?

不動産

戸建て投資を始めてから、間もなく4年経過しますが、初期に購入した戸建ての減価償却(4年)が終了し始めます。

特に千葉県八街市に購入した戸建ては、年間家賃以上に年間減価償却が取れ、給与や太陽光の所得との相殺に多大な貢献をしてくれました。

このまま戸建ての減価償却が順次切れ始めると、建物比率が高い大きな物件を買い続けない限り、黒字が大きくなり税負担が大きくなってしまうことから、いよいよ法人化を真剣に検討する時期に差し掛かりました。

法人化した場合、黒字の温床(?)であり取得税が掛からない太陽光を、簿価+α程度の価格で個人から法人へ売却し、今後は土地比率が高い(=減価償却費が少なく会計上の利益が出やすい)物件は法人名義で物件を買い進めることにより、設立1期目から良好な決算書が完成します(笑)

個人名義の戸建ては、5棟10室ルールはクリアして青色申告控除(65万円)は享受しながら、市況を見ながら長期譲渡扱いになっていれば順次売却していくことにより、法人→黒字、個人→赤字 という理想的な形となります。

また法人名義で物件を購入すれば、購入直後に売却したとしても総合課税のため、20%or40%の譲渡税が掛かることも無くなり、機動的な投資活動が出来る上、個人であれば損金計上出来ない土地部分の借入れ金利も損金計上が可能となります。(細かい税法上のルールあり)

ただし法人を設立すると、法人住民税の支払に加えて、税理士費用も跳ね上がることから、投資規模は最低でも法人のみで2・3億程度のボリュームが無いと、税率がどうのこうの以前に経費負けするような気がしております。(購入する物件の収益性にもよりますが・・・)

スルガ銀行全盛期の2013年~2018年頃は、多法人スキームも横行しており「法人名義で物件を購入し、3期黒字の決算書を作ることにより、プロパー融資を引けるようにもなり、一気にメガ大家を目指し、FIREする」という風潮が強く、不動産投資初心者が1棟目から法人名義で購入することは割と一般的でした。

その当時、多法人スキームを使わず1法人で物件を買い進めた年収1000万円程度のサラリーマン、特に2016年以降の物件高騰期に投資を開始したサラリーマンで、投資規模3億以上且つ法人維持費を差し引いても法人設立の税法上のメリットがあったサラリーマンは意外と少ないように感じます。

頭金1,2割以上入れてあたり前の現在の融資が厳しい環境下において、法人設立までして数年以内に数億単位で規模拡大出来るのか?、何とか3期分の黒字決算を作り上げてしっかり納税していたとすれば、大口の融資を受けられるのか? 

非常に疑問です・・・

「今でもフルローンで融資引けてます」「1%未満でプロパーローンで●億円の融資を受けました」といった話は、価格高騰期前より不動産投資を開始している「所有不動産の含み益たっぷり」「売却益による現金たっぷり」な投資家ばかりだと思います。

 

2021年度に入り、一部の金融機関は融資に積極的になってきたという情報も増えました。

ということは、その金融機関で融資が付くような物件はさらに価格が高騰し始めることを意味します。

物件の価格が上がっても、大半のエリアで家賃相場は下がっておりますので、当然収益性は下がります。

さらに物件相場が高騰して、あわよくば買値よりも高値で売却しようというキャピタルゲイン狙いの投資であれば、運次第では儲かるかもしれませんが、相場の峠を超えて下落基調に突入したら、ただでさえ収益性が低いのに、キャピタルロスも発生するという最悪のシナリオが待っており、完全に「チキンレース」状態です。

さらには法人維持費の負担に加え、黒字化させるべく減価償却期間を長めに設定していた物件を所有していれば財務上は黒字となり、収益性が低い中、法人税の支払も発生します。

さらに、「残債>実勢価格(もしくは簿価)」と、信用毀損しているため、追加の融資は受けにくい状況になってしまいます。

ここ10年くらい、物件の価格は上昇し続けており、物件相場が下がるという経験をしている投資家は少なく、逆回転が始まったら悲惨な状態になります。

要は今の相場で「大きく積算割れしている」「大型物件を」「頭金10%程度の自己資金で残りは融資を組んで」物件を購入することを株式投資で例えると「株価が割高で過熱感がある中で」「信用買いでレバレッジを効かせて」「(すぐに売れない可能性のある)流動性の低い銘柄を大量に」「高い売買手数料を払って」購入することに、かなり近い行為です。

不動産業者やコンサル業者は「物件が割高でも」「時間を味方につけて」「キャッシュフローを得続ければ」「価格が暴落したとしてもひたすら市況が回復するのを待ちながら残債を減らし」「市況が回復したタイミングで売却すれば」「大きなインカムゲイン・キャピタルゲインが得られるので、待ってないで1日でも早く買ってしまいましょう!」と、口を揃えて言います。

顧客が物件を購入する、もしくは購入する気を持ってくれなければ、商売にならないからです。

私は、収益物件の価格低迷期であれば戸建てではなくアパートを購入していたと思いますが、価格高騰期に高額な収益物件を購入することは長期的に見ても大した収益を生むとは思えないので、コツコツと割安な戸建てがあれば拾っていくスタンスです。

残念ながら、相場より2割以上は安いようなアパートを、ライバルより早く融資を取り付けて購入出来る自信は私にはありませんので、現在の価格高騰下においては安易に法人化して微妙なアパートを購入することはせず、身の丈に合った投資を継続していきたいと思います。

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