何度もこのブログに書いておりますが、ここ3年くらい(特にここ1年)ボロ戸建て投資家が急増しており、業者が500万円以下の物件を掲載すると、投資家が殺到してすぐに物件サイトから削除されることも多々あります。
何故、ここまでボロ戸建て投資家が増えたのか、改めて考えてみたいと思います。
・スルガ銀行の「かぼちゃの馬車事件」以後、1棟ものの融資が下りにくくなった。
・1棟ものと違って融資に頼らず、現金で気軽も購入出来る価格帯である
・1棟ものは融資が厳しい割に、価格があまり下がらず投資妙味が薄い。(戸建ての方がマシ)
・区分の価格が上がり過ぎて、これ以上の価格上昇は見込めにくくなってきた。(戸建ての方がマシ)
・サラリーマンの副業に追い風(事実上の解禁?)
・戸建てコンサルの増加(→戸建て投資がいかに優れているか、空き家再生が社会貢献につながるか、の啓蒙活動の結果)
・ちゃんと取り組めば、区分よりも確実に儲かる(キャピタルゲインに頼ることなく、インカムケインで十分回収出来る)
・第一次ベビーブーム世代の死亡(相続)、施設に入る等の理由により、投資向けの安価な戸建ての売却が増加
・マスコミ・不動産専門家による「空き家問題(空き家率上昇、特定空き家制度)」「負動産(不動産の2極化)」といった煽りによる「早く売却しなくては・・・」という売主心理による売却の加速
・コロナによる郊外・田舎移住ニーズの高まり(郊外の賃貸ニーズ増加により投資妙味あり?)
逆に、数年前と比較した「戸建て投資における逆風」は以下の通りです。
・日本政策金融公庫の融資が厳しくなった。(15年は原則不可で最大10年まで、投資初心者を厳しく見るようになった等)
・不動産仲介業者がこのブームに気付いてしまい、値付けミスが減り、利回り商品として売り出すことも増えた。
・エリアによっては、(ボロ)戸建て賃貸物件の供給が増加傾向にある。
・火災保険の改悪(2021年~ 基本的には値上げ)
ライバルが増えたことと、上記の逆風により、ボロ戸建て投資は今迄より旨みは少なくなっていると思いますが、
それでもブーム少なくとも、あと5~10年は続くと予測しております。
理由は以下の通りです。
・マーケットに完全に認知され、市場が形成された。(物件売買の流動性が高まり、出口戦略に困ることも無くなった)
・相対的に見て投資妙味がある不動産投資商品が他に無い(×民泊 ×オフィス・テナント系 ×コインランドリー)
・金融機関が1棟ものの融資を本格的に再開させたとしても、多法人スキーム・エビデンス偽造(源泉徴収票・保有金融資産)・消費税還付といった「不動産投資スキーム」が封じられ、購入出来る顧客の絶対数が限られてしまう。(→それでも不動産投資をしたい人は必然的に戸建てへ流れてくる)
・1棟ものの融資が緩くなってきたとしても、これだけ新築・築浅アパートが乱立し、郊外~田舎は人口が減少していることも鑑みると、物件の価格が下がってきたとしても初心者はビビッてしまう。(地価下落・家賃下落・空室リスク上昇)
・コロナ禍により市中のカネがダブついており、空前の低金利は当面は続くため、数百万円単位のカネを手っ取り早く運用するのに最適である。
・サラリーマンのリストラが加速しており、自分の将来に危機感をもったサラリーマンがますます増加する。
・会社バレリスクをあまり気にしなくても良い時代になりつつある。(みんなやっている)
・ネットの情報やコンサルの台頭により、新規参入の精神的なハードルがますます低くなっている。
現在、区分の融資は依然として緩く、価格も高止まりしておりますが、都内単身者(主に学生・外国人)の賃貸ニーズは確実に減少しており、ここ数年の価格高騰期に、さらに割高な価格(業者の利益てんこ盛りの「業者売主」物件など)で購入している投資家も多く、一人で複数戸購入している年収が低めな投資家のデフォルトが増加すれば、金融機関による区分マンション融資の締め付けが始まります。
すると、区分購入を断念した投資家が戸建て投資へシフトし、ますますマーケット参加人口が増加し、しばらく活況が続きます。
そもそも戸建ては「不正融資」「被害者の会」「破産者増加」が起こるとような価格帯ではないので、何かがきっかけに一気に熱が冷めるということも考えにくいです。
WBSで大江さんが「ボロ戸建てブーム」を紹介したり、「ボロ戸建てREIT」が組成される日も近いことでしょう(笑)