日本の空き家は郊外を中心に年々増加しておりますが、主な要因は人口減少・都心回帰です。
それ以外にも、本当は取り壊して再建築したいが、接道の関係で再建築が出来ず、建物を取り壊してしまうと固定資産税が6倍になることから、そのまま放置しているというケースも多いと思います。
利便性が極めて悪い立地であれば、そもそも再建築してそこに住み続けるだけの価値があるのか?という問題もありますが、まずまずの立地であれば、再建築をどんどん促進しても良いのでは?とも感じます。
投資に向いた500万円程度の築古戸建て物件を探していても、「6メートル公道へ接道した整形地!」「東南角地!」「駅からフラットな平坦地、高低差もなし!」といった爽やかな物件はほとんどありません(笑)
あっても、価格が余裕で1000万円を越えていたり、狭小土地、もしくは賃貸需要が低いかなりの郊外になります。
私が先日購入した横浜市戸塚区の物件は接道(再建築)が際どく、重要事項説明書へは以下の記載がありました。
「本物件は建築基準法上の道路に接しておらず、同法に定める接道義務を果たしておりません。また敷地の接道幅が2m未満であり建築基準法に定める接道義務を果たしていないため、原則建築物の建築は出来ません。しかしこのような敷地であっても、横浜市長が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障が無いと認めて許可したものについては、建築が行えるようになります」
建築申請時に、建築審査会の同意が得られれば再建築が可能となる、いわゆる43条但し書き申請が必要です。
それでは自治体(行政)から見た時に、再建築を認めることのメリット・デメリットにはどのようなものがあるでしょうか?
まずはデメリットとしては、建築許可を出した後に、交通上・安全上・防火上・衛生上に問題が生じて、住宅を建築した人からクレームや訴訟を受けるリスクを抱えることが挙げられます。
一番は安全上の問題化と思いますが、大昔に建築した数十年前と比較して現在は防火性の高い住宅の建築が可能となっているなど、建築技術も向上しております。
老朽化した擁壁については組み直しが必要になることもありそうですが、それ以外は道路部分の修復や近隣との権利関係にもめごとが無ければ、さほど大きなデメリットは無さそうです。
逆にメリットはたくさんありそうです。
・解体・測量・設計・建築業者に仕事・雇用が生まれる。
・新しい建物が建築されれば、固定資産税も高くなる(市町村)
・建物部分(場合によっては土地も)新しく登記や所有権移転が発生するため、登録免許税や不動産取得税という税収が生まれる(国や都道府県)
・従前空き家であれば、そこに新しい居住者が生まれ、新たな消費も生まれる。(経済の活性化、税収拡大)
・倒壊可能性が高い「危険な老朽空き家」が無くなる(近隣住民からのクレームが無くなる?)
・街並みがキレイになり、イメージアップ!(路線価もアップ?)
自治体は、建て替え(再建築)を認めることによるメリットの方が圧倒的に多いようです。
特に横浜市や横須賀市は、坂や崖が多く、「よくこんな立地に住宅建てたな・・・」という物件がかなり多いです。
完全に高低差立地と共存しております(笑)
また、坂の上の物件は見晴らしが良くて気持ちが良いので高度経済成長期には人気があったようです。
私はあまり住みたくありませんが・・(笑)
という訳で、多少接道が悪かったり坂の上物件であっても、「再建築は出来る!(はず)」「見晴らしが良い物件に住みたい人もいるはず!」と自分に言い聞かせて、今後も購入検討から外すことなく、価格次第では検討していきたいと思います。